所長コラム

『もしトラ』の日米首脳会談

所長の佐藤正久です。

岸田総理とアメリカのバイデン大統領がワシントンで会談し、
覇権主義的な動きを強める中国に対し、
日本とアメリカが緊密に連携する方針で一致しました。

岸田総理は会談後の共同記者会見で日米同盟に関し、
今こそグローバルなパートナーとして真価を発揮すべき時だと強調。

岸田総理とバイデン大統領は、


核ミサイル開発を進める北朝鮮への対応で協力を確認しました。

今回の日米首脳会談は「もしトラ」です。

もしもトランプが大統領になっても少しでもその影響を低減させるために、
広く、深くを合言葉に、かなり広い分野で多くの約束を行いました。

すなわち、トランプになっても、できるだけ後戻りできないようにするためです。

バイデン大統領は、日本や韓国、フィリピン、豪州等の同盟国との関係を強化をして、
中国、北朝鮮、ロシアに対峙するという統合抑止の文脈でモノを考えて、
日米同盟を中心に据えたいと言っています。

トランプの場合は、例えば日米同盟で米軍が前方展開をしていますが、
それによりどれだけ米国が対価を貰えるのか、という発想をします。

今回は共に、大統領選挙を意識した首脳会談だったように思います。

また、極超音速滑空兵器(HGV)の探知追尾のための
衛星コンステレーションの日米協力を、
首脳レベルで抑えたのも大きいと思います。

イージス艦のレーダーは、ミサイルが水平線から出れば、
探知できますけども、水平線の向こう側は見えません。

ただ、極超音速ミサイルは、
水平線の見通し線上で見つけたとしても、
極超音速だと、それを追尾して迎撃するのはかなり難しく、
迎撃したとしても一回がせいぜい。

迎撃機会を2回、3回と増やすためには、
水平線の向こう側から極超音速のミサイルを
早期に探知して継続して追尾しないといけません。

しかしそれは上空、特に宇宙から見る衛星コンステレーションといった
多くの小型衛星を打ち上げる必要があります。

これを日本だけで負担するのは大変ですが、
複数国が経費負担をすれば、日本の負担も少なくて済み、
何より衛星コンステレーションで撮った情報を基に、
迎撃という共同対処を行う必要があります。

その意味で日米の首脳レベルでこのHGV対処を
やると決めたことが大きいと思います。

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