所長コラム

日本郵船拿捕事件は世界に影響を及ぼす

所長の佐藤正久です。

11月20日、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が、
日本郵船が運航する貨物船をイエメン近くの公海で拿捕した際の映像を公開。
映像には戦闘員が船内で「アメリカに死を。イスラエルに死を」と叫ぶ姿が映っています。

ついに来たかという思いと、西側の対応が後手に回ってしまったと思いました。
まさかやらないだろうという油断、見積もりの誤りもあったと思います。

実は11月14日にフーシ派はイスラエル関連船舶を拿捕すると予告していたのです。
その5日後の19日に、実際に貨物船ギャラクシー・リーダーが、
フーシ派のヘリコプターからの特殊部隊によって拿捕されてしまったのです。

映像を見る限りフーシ派は、それなりの力を持っていますから、
かなり西側の対応というものが後手に回ったなと思います。

日本郵船の会長さんとお話しする機会があったのですが、
こういうことがあると、やはりなかなかイエメン沖を通るのは怖いですから、
いま一定程度、貨物を手前で降ろしているそうです。
物流は止まりかけているわけです。

ここは、日本関連船舶だけでも年間1700隻の船が通るという、
日本の物流のルートであり、アジアとヨーロッパを結ぶところです。

これがフーシ派の軍によって止まることになると、日本に入ってくるものも減ります。
当然物価は上がるし、日本製品の輸出にも影響が出ますから、経済にも影響が出る。
ヨーロッパの方にも影響が出る。全体的に影響が出やすい。

特にロシアのウクライナ侵略でヨーロッパはロシアからガスが入ってこなくなりました。
今、ペルシャ湾の湾岸諸国にヨーロッパはガスを依存しています。
ペルシャ湾からガスを積んだタンカーがヨーロッパの方に行くには、
イエメン沖を通らないと大変なのです。

アフリカに希望峰がありますが、ケープタウンを周ると5日間余分にかかります。
それに保険代とか燃料代あるいは人件費が上がりますから、相当な負荷になります。
大きな影響が今後出る可能性はあります。

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