所長コラム

ガザ紛争におけるイランの動き

所長の佐藤正久です。

11月11日、イランのライシ大統領がサウジアラビアの実権を握る
ムハンマド皇太子とサウジアラビアの首都リヤドで会談しました。

この動きについて読売新聞では「イランはアラブの盟主サウジとの
関係改善をテコにイスラエル包囲網を強化する考え。イランの脅威を
封じたいサウジと利害が一致した」と報じています。

イランとしては、アメリカ主導のイスラエルやサウジアラビア、
湾岸諸国が行う対イラン包囲網を崩壊させる良い動きになったと思っています。

アメリカは中国に集中したい。
集中するためにはイラクやアフガニスタンから米軍を撤退させたい。
そのためにイスラエルとサウジアラビア、イスラエルとUAEやバーレーンなどの
湾岸諸国との国交正常化によって、対イラン包囲網を構成しようとしていました。

ところがハマスのテロ攻撃と、それに反撃するイスラエルのガザ侵攻が発生。
この紛争でイスラエルとサウジアラビアの国交正常化はご破算になってしまいます。

逆にサウジアラビアで開かれたイスラム協力機構の場を利用して、
イランの大統領とサウジアラビア、エジプトの首脳が会うという
真逆の構図ができてしまいました。

イランも頭がいいですから、サウジアラビアを持ち上げながら
「イスラム諸国が結束してイスラエルのガザ侵攻を批判するのだ」
こういう構図ができてしまいました。

アメリカの中東政策が裏目に出てしまったということだと思います。
イスラエルのガザ侵攻が長引けば長引くほど、
反米の動き、反イスラエルの動きが中東で強まるでしょう。

イランは自分の子分のヒズボラやフーシ派、
イラクやシリアの民兵などを使いながら、イスラエルへの攻撃や米軍へ
ちょっかいをどんどん出してくると思います。

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