所長コラム

事実上、2036年までの今後12年間はプーチン大統領でほぼ決まり

所長の佐藤正久です。

ロシア大統領選挙では、現職のプーチン大統領が
87%を超える得票率で通算5選を決めました。

中央選挙管理委員会が暫定発表した投票率が77%で、
プーチン大統領の得票率、投票率ともにロシア大統領選挙で過去最高となりました。

プーチン大統領は勝利宣言をした後に、ウクライナ侵略を
「ロシアの主権を守る戦いだ」と正当化して、
「高い投票率は有権者がそれを理解していたためだ」と主張しています。

ロシア大統領選挙の結果は予想通りの圧勝でしたが、
正当性も公平性もない独裁国家の選挙そのものだという感じもしています。

特に今回はウクライナ侵略を正当化する意味でも、
前回以上に投票率も得票率も高くならないといけない状況でしたので、
色々な細工をしたと思われます。

数値的に面白いのは、事前の世論調査の支持率と、
今回の選挙結果はともに87%で同じことです。

前から85%では弱すぎる。90%ではあまりにも共産主義的に聞こえる。
87%から88%がちょうどいいという論評も出ていましたので、
それに沿った形となりました。

他の独裁者の選挙結果を紹介しますと、
イラクのサダム・フセインは得票率、なんと100%。

チェチェンのカディロフ首長は99%。シリアのアサド大統領は95%。
それと比べると、プーチン大統領の87%は強さを示しつつも、
現実的な数字だと言い張れる数字だということでしょう。

ただ、選挙管理委員による不正投票の動画とか、
得票率が全く同じ投票所がいっぱいあるとか、
あるいはウクライナ領内の併合4州での得票率が90%前後とか、
あり得ない数字もあるので、ロシア独特の電子投票での不正を含め、
かなり作為的なものがあったとは思います。

これで事実上、2036年までの今後12年間はプーチン大統領でほぼ決まりなので、
今まで以上にウクライナに対して、さらに攻勢を強めることもできるでしょう。
逆に有利な条件で一時停戦をして戦力を回復した数年後に、
再度、キーウを攻めるという選択肢も得たと思います。

仮に今年の5月から夏にかけて攻勢を強めるためには、
さらなる動員や徴兵が必要になります。

実際、ロシアの国防大臣は2個軍団をさらに動員すると言っていますから、
今回の圧勝を受けて、さらに動員というものをやりやすい状況なのは間違いありません。
これから夏場にかけて非常に緊迫する可能性があります。

さらに、今回の圧勝を受けて、大手を振って
北朝鮮やイランに乗り込んで、さらに火砲や弾薬を得るということになれば、
ウクライナに対して優位性を高めることにもなるでしょう。

関連記事

新着記事
会員限定
おすすめ
PAGE TOP
ログイン